葛飾北斎(かつしかほくさい)の知られざる「版本(はんぽん)の世界」に深く没入できる、またとない機会が訪れます。
島根県立美術館にて、2025年9月10日(水)から11月3日(月・祝)まで、『永田コレクションの全貌公開〈二章〉 北斎-「葛飾北斎期」・「戴斗期」編』が開催されます。
津和野町出身の北斎研究者・故永田生慈(ながたせいじ)氏より寄贈された、“県外不出”の貴重なコレクション。本展では、北斎が46歳から60歳頃までのエネルギッシュな創作期に焦点を当て、その圧巻の仕事ぶりを余すところなく公開します。
この記事では、本展の見どころからお得なチケット情報、見逃せない関連イベントまで、鑑賞体験を最大限に高めるための情報を網羅的にお届けします。
開催概要
まずは、本展の基本的な情報を押さえておきましょう。
項目 | 詳細 |
展覧会名 | 永田コレクションの全貌公開〈二章〉北斎-「葛飾北斎期」・「戴斗期」編 |
会場 | 島根県立美術館 企画展示室 |
会期 | 【前期】2025年9月10日(水)~10月5日(日)【後期】2025年10月8日(水)~11月3日(月・祝) ※10月6日(月)、7日(火)は展示替えのため閉室 |
開館時間 | ・9月: 10:00~日没後30分(入場は日没時刻まで) ・10・11月: 10:00~18:30(入場は18:00まで) |
閉室日 | 火曜日(ただし9月23日は開館)、10月6日(ただしコレクション展は観覧可) |
【展示替えについて】 前期と後期で、錦絵と摺物は全点展示替え、版本は展示箇所が変更されます。肉筆画は通期で展示されるため、いつ訪れても鑑賞可能です。
展覧会の3つの見どころ
本展は、単に有名な作品を眺めるだけではありません。北斎の創作の神髄に触れる、3つの大きな見どころがあります。
1. 圧巻の「版本世界(ブックワールド)」!約500冊を一挙公開
本展の最大の見どころは、北斎が精力的に手掛けた「読本(よみほん)」の挿絵と「絵手本(えでほん)」、
約500冊が一堂に会する点です 。
曲亭馬琴(きょくていばきん)と組んだ大ヒット作『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』や、森羅万象を描き尽くした『北斎漫画』など、この分野で第一人者となった北斎の緻密で力強いペンワークを心ゆくまで堪能できます。
2. 「初摺(しょずり)」と「後摺(あとずり)」を見比べ、北斎の真意に迫る
同じ作品でも、最初に摺られた「初摺」と、後から摺られた「後摺」では表現が大きく異なることがあります。本展では、この摺りの違いを直接見比べられる貴重な機会が設けられています。 例えば『頼豪阿闍梨怪鼠伝(らいごうあじゃりかいそでん)』では、初摺で薄墨を重ねて表現された立体的な大鼠が、後摺では省略されて白鼠になっています。北斎が当初目指した表現世界が何であったのか、自身の目で発見する楽しみがあります。
3. 研究者ならではの希少な資料も多数展示
永田コレクションの真骨頂は、作品だけでなく、その周辺資料の豊富さにもあります。『北斎漫画』の極めて貴重な「板木(はんぎ)」や、販売当時に版本を包んでいた珍しい「袋」など、研究者の深い愛情と探求心によって集められた希少な資料の数々が、北斎の世界をより立体的に見せてくれます。
チケット情報:お得な前売券を活用しよう
観覧料は、当日券よりお得なオンライン・ローソンチケットがおすすめです。
チケット種別 | 対象 | 料金 |
オンライン・ローソン(2025年8月8日発売) | 一般 | 900円(北斎展+コレクション展セット) |
大学生 | 600円(北斎展+コレクション展セット) | |
当日券 | 一般 | 1,000円(北斎展のみ) 1,150円(北斎展+コレクション展セット) |
大学生 | 600円(北斎展のみ) 700円(北斎展+コレクション展セット) |
- 小中高生は無料です。
- 20名以上の団体料金や、各種手帳をお持ちの方への割引もあります。詳細は公式サイトをご確認ください。
- ローソンチケットのLコードは 61347 です。
見逃せない!充実の関連イベント
本展では、展示とあわせて楽しめる無料の関連イベントが多数開催されます。
- 記念講演会(当日先着順)
- ① 9月21日(日) 14:00~: 田中則雄氏(島根大学教授)「江戸後期の読本-文と絵が語る文学世界-」
- ② 10月18日(土) 14:00~: 根岸美佳氏(すみだ北斎美術館 学芸員)「絵手本にみる北斎の魅力」
- 学芸員によるスライドトーク(当日先着順)
- 前期編: 9月27日(土) 14:00~
- 後期編: 10月13日(月・祝) 14:00~
- 浮世絵摺り実演(見学無料)
- 9月23日(火・祝) ①10:30~ / ②13:30~: 『北斎漫画』などの復刻版の摺り実演を見学できます。
- ロビーコンサート(鑑賞無料)
- 10月12日(日) ①13:00~ / ②15:00~: NHK大河ドラマのテーマ演奏者が登場します。
- 美術館キネマ『八犬伝』(鑑賞無料)
- 9月14日(日) ①10:30~ / ②14:30~: 役所広司さん主演、馬琴と北斎の交流を描いた2024年の話題作を上映します。
限定グルメ&グッズ情報
鑑賞の前後には、展覧会限定のお楽しみも待っています。
- 湖畔のレストラン「RACINE」
- 期間限定で「Shimane Art Museum 北斎コース」(4,500円税込)を提供。島根の食材と北斎が好んだそばなどを組み合わせた、予約不要の特別メニューです。
- ミュージアムショップ
- 展覧会図録となる『永田生慈北斎コレクション総目録〈二巻〉』(3,300円税込)をはじめ、多彩な関連グッズが販売されます。
会場へのアクセス
- 会場: 島根県立美術館
- 住所: 島根県松江市袖師町1-5
- アクセス: JR松江駅から市営バスまたは徒歩でお越しいただけます。
北斎の画業の中でも特にエネルギーに満ちた40代から50代の作品群。その緻密さと迫力を、ぜひ会場で直接体感してください。
イベント情報を探す
▼美術・工芸の総合情報
▼月別イベントまとめ
- 【11月の美術・工芸イベントまとめ】文化の日・連休に巡る展覧会をご案内
- 【10月の美術・工芸イベントまとめ】芸術の秋本番!注目の展覧会をご案内
- 【9月の美術・工芸イベントまとめ】秋の連休に巡る展覧会をご案内
- 【2025年8月】美術展・展覧会まとめ(開催中・開始イベント一覧)
▼地域別まとめ
おすすめ美術・工芸記事
-
【衝撃の事実】9割の人が知らない歌川国芳『相馬の古内裏』のウソ?!滝夜叉姫と巨大ドクロの謎を解き明かす【黄昏探求舎の妖怪絵元ネタ徹底解説】
歌川国芳の『相馬の古内裏』は、なぜ巨大なドクロが描かれているのか? 実は、一番目立つドクロは原作には登場しません。 この記事では、歴史的背景と当時の大衆文化を紐解き、浮世絵に隠された真実を徹底解説します。 -
【東京】で今見るべき美術展・展覧会情報まとめ(2025年最新)
東京都内で現在開催中の、心揺さぶる美術展・展覧会の情報を総まとめ。週末に訪れたい美術館の特別展から、ユニークなアートイベントまでご案内。 -
【国立科学博物館】特別展「大絶滅展」徹底解説!見どころ、福山雅治コラボ、お得なチケット情報も
国立科学博物館で「大絶滅展」開催!生命史の5大絶滅「ビッグファイブ」を貴重な化石で辿ります。福山雅治さんのナビゲート、すみっコぐらしコラボ、お得なチケットや見どころを徹底解説
「美術・工芸」アクセスランキング
-
【衝撃の事実】9割の人が知らない歌川国芳『相馬の古内裏』のウソ?!滝夜叉姫と巨大ドクロの謎を解き明かす【黄昏探求舎の妖怪絵元ネタ徹底解説】
歌川国芳の『相馬の古内裏』は、なぜ巨大なドクロが描かれているのか? 実は、一番目立つドクロは原作には登場しません。 この記事では、歴史的背景と当時の大衆文化を紐解き、浮世絵に隠された真実を徹底解説します。 -
【茨城・水木しげる展】妖怪誕生の秘密に迫る!五浦美術館で「妖怪 百鬼夜行展」開催(9/12~10/26)
水木しげるの妖怪たちはどう生まれた?五浦美術館で、その創作の秘密に迫る展覧会が開催 。原画約100点や貴重な蔵書も必見です 。 -
【石川県立美術館】北斎・広重 大浮世絵展は必見!見どころとチケット情報も徹底解説
石川県立美術館で「北斎・広重 大浮世絵展」が開催されます 。教科書でおなじみの『冨嶽三十六景』や『東海道五拾三次』など、二大巨匠の約200点に及ぶ名品を一度に鑑賞できる貴重な機会です 。
「美術・工芸」新着一覧
-
【2026年】大阪市立美術館90周年記念特別展「水滸伝」開催!歌川国芳の傑作74作品が集結
2026年7月11日より、大阪市立美術館の開館90周年を記念して、特別展「水滸伝」が開催されます。歌川国芳の出世作「通俗水滸伝」の現存74作品が一堂に会するほか、物語の舞台となった北宋時代の中国美術の名品も展示。日中の美術を通して『水滸伝』の世界を多角的に掘り下げます。 -
【2025年】千葉・袖ケ浦市郷土博物館で企画展「鳥をめぐる物語」開催!超入門野鳥観察会も
2025年10月4日より、千葉県袖ケ浦市の郷土博物館にて、身近な生き物である鳥をテーマにした企画展「鳥をめぐる物語」が入場無料で楽しめます。袖ケ浦市内で見られる鳥の紹介から、遺跡や歴史の中での鳥との関わりまでを紐解くほか、初心者向けの野鳥観察会も開催されます。 -
【2025年】豊橋市二川宿本陣資料館で企画展「馬と人のものがたり」開催!江戸時代の馬とのつながりを探る
2025年10月11日より、愛知県豊橋市の二川宿本陣資料館で、江戸時代を中心とした馬と人の歴史に迫る企画展「馬と人のものがたり」が開催されます。馬具や浮世絵などの展示を通して、生活に密接だった馬との関係性を紹介します。 -
【2025年】京都・大谷大学博物館で“推し活の萌芽”を辿る特別展「物語をつたえる絵とことば」開催
2025年10月11日より、京都市の大谷大学博物館で特別展「物語をつたえる絵とことば」が開催されます。世界に唯一しか現存しない「よしつねあづまくだり物語」などの貴重な奈良絵本や絵巻を通して、現代の“推し活”につながる物語の享受の歴史をひも解きます。 -
【2025年】上野の森美術館「正倉院 THE SHOW」開催!漫画家・萩尾望都のトークイベントも
2025年9月20日より、東京・上野の森美術館で、正倉院の宝物の美を全身で楽しむ体感型展覧会「正倉院 THE SHOW」が開催されます。超高精細映像や再現模造品に加え、開幕記念として漫画家・萩尾望都さんのトークイベントや螺鈿ワークショップなども行われます。 -
【2025年秋】長野「こもろ浪漫」開催!光岳寺楼門の十六羅漢像が18年ぶり特別公開
2025年10月11日より、長野県小諸市でまちなか回遊イベント「こもろ浪漫2025秋」が開催されます。今回は、光岳寺の楼門に安置される「十六羅漢像」が18年ぶりに特別公開されるほか、10月25日には音楽とアートの祭典「街道LIVE×TeLIVE」も復活します。