2008年、札幌市南区の豊平川で、ひとりの市民が奇妙な形の岩を見つけました。それが、900万年という壮大な時間を経て、私たちにクジラの進化の謎を教えてくれる大発見につながったのです。
この化石は、長い年月をかけて多くの人々の手で丁寧に発掘・研究され、ついに新種のセミクジラ「メガベリーナ・サッポロエンシス(通称:サッポロクジラ)」として、国際的な科学雑誌に論文が掲載されました。
なぜ「サッポロクジラ」はそんなにすごい?
このクジラは、全長12.7メートルと推定され、当時のセミクジラとしては非常に大型でした。そして、驚くべきはその保存状態。ほぼ全身の骨が残っている、世界でも類を見ない貴重な化石なのです。
これまでの研究では、セミクジラの進化史には約900万年間の空白期間があり、謎に包まれていました。しかし、この「サッポロクジラ」の発見が、その大きな空白を埋める鍵となりました。
化石の分析から、現代のセミクジラとは全く異なる姿が明らかになりました。現代のクジラが太く短い体つきなのに対し、サッポロクジラは細身で腕も細長かったことが判明。この違いは、クジラが進化の過程で、泳ぎ方や体の使い方を変えてきた可能性を示唆しています。
この貴重な化石に会える!
この歴史的な発見を記念して、サッポロクジラの実物化石やレプリカを見ることができる展示が開催されます。
- 札幌市博物館活動センター: 2025年8月30日まで開催中。
- 北海道大学総合博物館: 2025年9月12日から巡回展。
いずれも入場は無料です。900万年前のクジラの姿を、ぜひ間近でご覧になってください。
【ギャラリートーク情報】 展示期間中、学芸員によるギャラリートークも開催されます。より詳しい話を聞いてみたい方は、ぜひ参加してみてください。 開催情報はこちら
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