

全ての始まりは、「最高のサンマ」への渇望だった
なあ二人とも、聞いてくれよ!この前、伊崎漁港のすぐそばで、とんでもない『穴場』を見つけちまったんだ!
ほう?君がそこまで興奮するとは、興味深いね。
ネットでサンマの美味しい焼き方動画見てたら、無性に美味いサンマが食いたくなってさ。それで、漁師さんの直売所『ふくおか福産海』ってのに行ってみたんだよ。
伊崎漁港のそばの住宅地のこの建物が目印だ。

漁港の直売所か。中間流通を排した、最も原始的かつ合理的な販売形態だな。それで、サンマの品質は?
それが、最高だったんだよ!しかも、サンマだけじゃなくて、見てくれよ、これ!穴子の刺し身なんて、初めて食ったぜ!コリコリしてて、甘くて…!


穴子の刺身……?データ上、鮮度管理が極めて難しく、市場に出回ることは稀なはずだが……。
データか、感性か。二人が見た「直売所の価値」
私も後日、調査に行ってみた。確かに、ヒラメやコチといった地魚が、市場価格と比較して驚くほど安価で提供されていた。漁師からの直接販売による、コスト削減効果は明らかだな。
だろ?!俺、こないだまた行っちまってさ。今度は足赤海老とコチの刺し身を買っちまった。足赤海老なんて、プリップリで!こっちも刺し身で食べたんだ。


なるほどね……。夏目くんは『生命の躍動』を、一条くんは『市場原理からの逸脱』を、それぞれ同じ場所で見ているわけか。……実に、面白いじゃないか。その、漁港のそばの小さな店には、どんな空気が流れているんだい?
それがよ、お店の方が親切に、この海老は煮付けやガーリックシュリンプにしても美味しいけど、やっぱ新鮮だから刺身が一番とか、色々教えてくれるんだよな。
顧客とのダイレクトなコミュニケーションによる、付加価値の提供か。フム……。
結論:なぜ我々は、わざわざ漁港へ足を運ぶのか
……分かった気がするよ。我々が、スーパーではなく、わざわざ漁港の直売所まで足を運ぶ理由。それは、単に『安くて新鮮な魚』を買いに行っているのではない。その魚を獲った人々の『物語』や、その土地の『空気』ごと、味わいに行っているのだね。
おお、篠宮さん、良いこと言うじゃないか!
……篠宮の感想は非合理的だが、否定はしない。顧客体験価値(カスタマーエクスペリエンス)という観点からは、説明可能だしな。
店舗情報
- 店名: ふくおか福産海
- 場所: 福岡県福岡市中央区福浜1丁目27−3
- 営業時間:毎週木〜月曜日11時から13時
- Instagram:@fukuoka_fukusankai
