なぜ、ムクドリは日本全体で数を減らしながらも、都市部にこれほど密集するのか。その答えは、彼らが決して無秩序に集まっているのではなく、極めて合理的な生存戦略に基づいて都市を「選択」しているという事実にある。
まず、都市はムクドリにとって理想的な「食料庫」と「揺りかご」を提供する。例えば、一部の自治体で糞害の一因として市民から指摘された「クロガネモチ」のように、街路樹は季節ごとに豊富な実をつけ、安定した食料源となる。 また、私たちが排出する生ゴミや、それに群がる昆虫も彼らにとってのご馳走だ。繁殖期には、戸袋や建物のわずかな隙間が、雨風をしのぎ、安全に雛を育てるための格好の巣となる。
そして何より、都市は彼らにとって「安全地帯」である。最大の天敵であるタカなどの猛禽類は、ビルが密集し、開けた空間の少ない都市部を狩りの場として好まない。夜間も煌々と照らされる照明と、絶え間ない人の往来は、他の夜行性の捕食者を寄せ付けない天然の警備システムとして機能する。
しかし、これらの要因だけでは、駅前や官庁街といった特定の場所に、数万羽が集中するほどの極端な密集は説明できない。この謎を解く鍵として、近年、都市鳥研究会が提唱する「ビル壁」の存在が注目されている。
調査によると、ムクドリの集団ねぐらが形成される場所のほとんどに、ねぐらとなる樹木や電線より高い「壁のようなビル」が存在したという。この「ビル壁」は、風を遮る巨大な防風林の役割を果たすと同時に、天敵が上空から接近する際の死角を作り出す。つまり、ビルに囲まれた空間は、ムクドリにとって物理的に最も安全で快適な「要塞」となっているのだ。
豊富な食料、安全な巣、そして天敵から身を守る巨大な壁。 ムクドリの都市集中は、彼らが引き起こした問題ではない。むしろ、私たち人間が作り出した都市という特殊な環境へ、彼らが必死に「適応」した戦略の結果なのである。彼らのけたたましい鳴き声は、我々が作り変えた自然環境に対する、彼らなりのアンサーなのかもしれない。
次号、第3回では、この「厄介な隣人」に対し、全国の自治体がどのような対策を講じているのか、その官民一体となった攻防戦の最前線に迫る。
官民一体の攻防戦 ~全国自治体「ムクドリとの闘い」最前線~
【ムクドリ問題・集中連載】
▶︎ 【第1回】都市の喧騒、田園の静寂 ~あなたの知らないムクドリの真実~
▶︎ 【第3回】官民一体の攻防戦 ~全国自治体「ムクドリとの闘い」最前線~
▶︎ 【最終回】「共存」か「棲み分け」か ~減少する隣人との未来を探る~
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