
「スープ」と「仕事」の仕掛人。二人のコレクターの、意外な素顔

こんにちは、「黄昏探求舎」へようこそ。本日は、福岡市美術館で開催中の展示「コレクターズⅣ─トリガーと鏡─」(※)について、語り合おうか。

※2025年9月13日(土)~28日(日)開催

しかし、Soup Stock Tokyoの社長と、クラウドワークスの社長のコレクションだったとはな。驚いたぜ。

事業家がアートを収集するのは、何ら不思議ではない。資産形成、あるいは、自身のブランディングの一環。極めて合理的な判断だ。

ふふ、君はいつもそれだね。だが、吉田浩一郎氏がコレクションを始めたきっかけは、もっと詩的だよ。彼は、かつて役者を目指していたが、その道を断念した。だから、才能を『支援する側』になりたい、と。まるで、ニジンスキーを支えたディアギレフのようにね。

へぇ…。そういう物語があったのか。
アートは『鏡』。”クラウドワークス”吉田浩一郎コレクションとの対話

そう。だから、吉田氏のコレクションは、彼の心を映す『鏡』なのだそうだ。静かで、哲学的な作品が多い。例えば、レアンドロ・エルリッヒ『日中の白い飛行便』『夜間の黒い飛行便』。

ああ、あれか!本当に飛行機に乗ってるみたいで、ビックリしたな!

吉田浩一郎氏のために特別に制作された作品だ。没入型の体験価値を提供する、という点で、現代アートの市場性を的確に捉えている。ワンビルの『ピクセル・ツリー』と同じ作家だな。

私が惹かれたのは、毛利悠子『Moré Moré Tokyo(Leaky Tokyo)』だね。地下鉄駅の、職員さんによる手作りの水漏れ対策。誰もが見過ごすような光景に、『美』を見出す。その視点こそが、アートの本質だよ。

俺は、藤堂さんの作品がグッときたな。ドイツのルール地方の歴史を、本とガラスで表現する…。俺たちの、土地の歴史を探求する活動にも、何か通じるものを感じたぜ。
アートは『トリガー』。”Soup Stock Tokyo”遠山正道コレクションとの遭遇

一方、遠山氏のコレクションは、より挑戦的だ。トーマス・ルフ『ter 02(jpeg)』。ネットの低画質画像を、巨大なアート作品として提示する。これは、写真というメディアの『常識』そのものを、解体する試みだ。

彼の言う、アートは『見えないトリガー』というのは、こういうことなのだろうね。当たり前だと思っていた価値観を、静かに、しかし根底から揺さぶってくる。

宮城県石巻市の、保良雄さんの作品もすごかったな。震災があった場所に、堆肥と種を蒔いて、新しい命が生まれる様子を記録する。これもアートなんだって、なんか、ハッとさせられたよ。

そして、山脇紘資『白犬』。鑑賞者が絵を『見る』と同時に、絵の中の犬に『見られる』。その視線の往復運動の中にこそ、アート体験が生まれる…。
結論:我々は、何を探求するのか

いやー、面白かったな!アートって、ただ綺麗なだけじゃないんだな。

ふむ。二人のコレクターの、明確な哲学と、それに紐づく資産ポートフォリオ。経営者として、学ぶべき点は多い。

そうだね。アートは、自分の心を映す『鏡』にもなれば、新しい思考を促す『トリガー』にもなる。……さて、我々『黄昏探求舎』にとって、探求とは、一体何なのだろうね?

お、始まったな、篠宮さんの哲学タイムが(笑)。

ふふ…。その答えを探すのが、我々の旅路じゃないか。
福岡市のアートイベント「FaN Week 2025」開催中!

さて、今回紹介した福岡市美術館の「コレクターズⅣ─トリガーと鏡─」は、福岡市の各地で同時開催しているアートイベント「FaN Week 2025」の一環なんだ。FaNとは「Fukuoka Art Next」のことだよ。

福岡市美術館付近にある「Artist Cafe Fukuoka」や「福岡アジア美術館」、ワンビルその他福岡市内のギャラリーなど多数でいろいろなアート活動を行っているんだぜ。

詳細は公式イベントサイトを見て欲しい。我々もまた興味を惹かれたイベントに、ぜひ足を運ぶとしよう。