
葛飾北斎の驚異的な描写力と鋭い「目」に焦点を当てた特別企画展「なんという目だ! 北斎にはこう見える」が、長野県の小布施 北斎館にて開催されます。
本展では、生涯何万点もの絵を描き続けた北斎が、いかに自然界の一瞬の動き、光、そして水の姿を捉えていたかを、彼の代表作や読本挿絵を通して深く掘り下げます。
この記事では、本展の日程、時間、入場料といった開催概要に加え、「爆発と崩壊」「風と雲」「水」といった鑑賞のポイント、さらにはワークショップやギャラリートークなどの関連イベント、そして現地のアクセス・駐車場情報に至るまで、鑑賞に役立つ情報を網羅的に解説します。
「なんという目だ! 北斎にはこう見える」展とは?
葛飾北斎の類まれな観察眼と描写力に迫る企画展です。北斎が自らの「目」を通して捉えた動植物の躍動感、渦巻く雲、降り注ぐ雨、そして他の絵師よりも群を抜いていた水の表現に焦点を当てています。
「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」に代表される、カメラのシャッターを切ったかのように一瞬の動きを閉じ込めた水の姿から、爆発による閃光の表現まで、北斎が持つ驚異的な表現の秘密に迫る内容です。鑑賞者は「北斎の目はなんという目だ!」と、思わず口にしてしまうことでしょう。
開催概要
本展覧会の基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 展覧会名 | 【企画展】なんという目だ! 北斎にはこう見える |
| 会期 | 2025年10月11日(土)〜12月7日(日) |
| 会場 | 信州小布施 北斎館 |
| 開館時間 | 9:00〜17:00(ご入館は16:30まで) |
| 休館日 | 会期中無休 |
| 入場料 | 一般 1,200円、大学生・高校生 500円、小・中学生 300円 |
| 備考 | 本展は三館共通券でのご入館はできません。 |
見どころ・主な内容
北斎がその鋭い「目」で捉え、描いた世界の核心に迫る「鑑賞のポイント」は以下の通りです。
北斎の目には爆発と崩壊がこう見える!

- 宝永山の出現を表現:宝永4年(1707年)に起きた富士山の噴火に伴う災害を描いた作品を紹介します。一夜にして出来上がった「宝永山」の出現を、あえて山の姿を描かずに、崩壊する家屋や土煙で表現し、自然界の大きな力と恐怖を感じさせます。
- 主な展示作品:『釈迦御一代記図会』巻ノ六「暴悪と罰して天雷流離王が王宮を焼き 君臣を撃ち殺す圖」、『小栗外伝』「爆発して『神霊』を噴出する仏堂」など。
北斎の目には風と雲がこう見える!

- 強風の表現:「冨嶽三十六景」より「駿州江尻」を展示。強烈な突風に惑わされる人々の姿や、風に煽られ空高く舞い上がる懐紙や菅笠の様子が、強い印象を与えます。
- 自然現象の一瞬:「神奈川沖浪裏」と並んで、自然界の現象の一瞬の姿を映し取った作品として、海外でも評価の高い一枚です。
北斎の目には光と影がこう見える!

- 稲妻の描写:「冨嶽三十六景」より「山下白雨」を展示。暗い雲の下を走る稲妻を描き、雷鳴が轟く直前に雲間から放出される電気の筋を逃さず捉えた北斎の観察眼を堪能できます。
- 落雷の表現:『冨嶽百景』より「夕立の不二」では、天からの落雷を直線を繋ぎ合わせたような面白い描き方で表現し、一瞬の光の屈折を見事に描写しています。

北斎の目には水がこう見える!

- 渦潮:北斎漫画 七編「阿波の鳴門」では、渦潮で有名な鳴門海峡の波の様子を、大小さまざまな渦波の衝突と変化として表現しています。
- 水のデザイン集:櫛職人・キセル職人向けのデザイン集『今様櫛キン雛形』から、風を受けて揺れる波濤、渦巻く波など、表情豊かな水のデザインを収録したページも展示されます。


関連イベント情報
本展では、鑑賞をより深めるためのイベントが企画されています。
ワークショップ「ほろ酔いで 北斎気分!」
- 内容:小布施町産の果物ジュースや地元の日本酒・ワインを楽しみながら、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をキャンバスと絵の具で描く創作ワークショップです。
- 開催日:2025年10月26日(日)
- 時間:14:00〜16:00
- 会場:北斎館内を予定
- 参加費:3,500円(当日受付にて支払い)
- 募集人数:12人
- 受付開始:10月11日(土)10時より(定員に達し次第終了)
学芸員によるギャラリートーク
- 内容:北斎館の学芸員による展示作品の解説です。
- 開催日:第1回 10月19日(日)/ 第2回 11月9日(日)(上記日程以外にも随時開催される場合があります)
- 時間:14:00〜(1時間程度)
- 集合場所:映像ホール前廊下
- 参加費:入館券をお持ちの方はどなたでもご参加いただけます(参加無料)
アクセス方法
会場となる信州小布施 北斎館へのアクセスは以下の通りです。
電車をご利用の場合
- JR長野駅「善光寺口」から長野電鉄に乗車。特急で約20分、普通で約30分で小布施駅下車。
- 小布施駅より徒歩約12分で到着します。
車でお越しの場合
- 上信越自動車道をご利用の場合、以下のインターチェンジが便利です。
- 小布施PAスマートインター(ETC車専用)より約8分
- 須坂長野東インターより約20分
- 信州中野インターより約15分
駐車場情報
- 北斎館東町駐車場(普通車専用):1時間 200円、以降1時間ごと 100円。
- 北斎館駐車場(隣接):普通車 400円、中型車 1,500円、大型車 2,000円。
まとめ
葛飾北斎の類まれな観察眼が遺した傑作の数々を一堂に集めた「なんという目だ! 北斎にはこう見える」展は、秋の行楽シーズンに長野県小布施で、芸術の深淵を体験できる貴重な機会です。
彼の描いた「爆発」「風」「水」の強烈な表現は、現代に生きる我々にも自然の偉大さと、北斎という絵師の凄まじい執念を伝えてくれます。
週末や祝日には混雑が予想されます。ご来場前に公式サイトでご確認の上、時間に余裕を持ってお越しください。
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