私たちの食卓に欠かせない、うなぎ。しかしその裏側では、資源の枯渇という静かな危機が進行し、日本の食文化の未来が揺らいでいます。
この危機に立ち向かうべく始動した、国家プロジェクト「うなぎ完全養殖」。それは、うなぎの神秘的な生態の謎に迫り、最先端の技術を結集して「生命を人の手で繋ぐ」という、壮大な挑戦の物語です。
このページは、全6回にわたってお届けした特別連載「うなぎの未来を巡る物語」の全てを網羅する総合案内ページです。序章から終章まで、この物語の全貌をここからご覧いただけます。
連載一覧:うなぎの未来を巡る物語
物語の始まりから、5つの技術的な柱、そして希望と現実が交錯する現在地まで。壮大な挑戦の全貌を、順を追ってお楽しみください。
第1回【序章】食卓から消える日。うなぎと日本の未来、完全養殖への挑戦
私たちが食べるうなぎの稚魚は、日本から2,000km離れた海で生まれ、長い旅をしてきます。現在、その全てを天然資源に頼るうなぎ養殖は危機に瀕しており、食文化の未来が危ぶまれています。この状況を打破するため始動した、国家プロジェクト「完全養殖」への挑戦、その壮大な物語の序章です。 [記事「序章」へ]
第2回【第1の柱】生命の源:人の手で「産卵のスイッチ」を入れる
養殖うなぎは人の手では産卵しません。その「産卵のスイッチ」をどう入れるのか?日本の研究者たちはホルモン投与という”鍵”で扉を開き、親の健康管理を徹底することで、安定して命を生み出す技術を確立しました。食文化の未来をかけた国家プロジェクトの最前線、その第一歩に迫ります。 [記事「第1の柱」へ]
第3回【第2の柱】最初の食事:“奇跡の餌”を求めて
生まれたばかりのうなぎの仔魚は何を食べるのか?その謎を解き明かした「サメの卵」という発見から、供給の壁を乗り越えた「代替飼料」の開発、そして特許出願中の最新「最適化飼料」まで。うなぎの命を繋ぐ“最初の食事”を巡る、研究者たちの探求の物語です。 [記事「第2の柱」へ]
第4回【第3の柱】命の揺りかご:新型水槽、設計の秘密
うなぎの仔魚を育てる「揺りかご」には、餌場の狭さや水流による怪我という課題がありました。日本の研究者と技術者集団は、特許取得の独自形状を持つ新型水槽でこの難問を解決。生産数を4倍にし、コストを1/20に激減させるブレークスルーを達成しました。 [記事「第3の柱」へ]
第5回【第4の柱】未来への布石:自動化と”エリートうなぎ”の育成
うなぎ完全養殖の未来を左右する二つの挑戦。それは膨大な手間を削減する「自動化」と、成長を早める「エリートうなぎの育成」です。70%のコスト削減を達成した自動給餌装置や、わずか1世代で仔魚期間を7%短縮したゲノム育種。その最前線を解説します。 [記事「第4の柱」へ]
第6回【終章】希望と現実 そして食文化の継承
うなぎ完全養殖の技術は確立された。しかし最後の壁は「コスト」。天然稚魚の数倍にもなる価格差という現実と、「2050年までに人工種苗100%」という国の約束。技術が食卓に届くまでの、希望と現実が交錯する最終章です。 [記事「終章」へ]