「国宝《剣 銘 吉光》と刀絵図」はこんな展示です
2025/4/21(日)~5/26(日)、石川県金沢市の石川県立美術館にて「国宝《剣 銘 吉光》と刀絵図」が開催されます。
徳川家と前田家を結んだ名剣:国宝「剣 銘 吉光」の神秘
国宝「剣 銘 吉光」(白山比咩神社蔵)は、1633年に徳川家から前田家へと嫁いだ大姫(清泰院)の婚礼調度品のひとつでした。清泰院は、三代将軍・徳川家光の養女であり、水戸徳川初代藩主・徳川頼房の娘です。その剣は、清泰院の死後、嫡男である五代藩主・前田綱紀によって、母の冥福を祈るために白山比咩神社へと奉納されました。
この名剣が徳川家の所蔵となった経緯は、現在も謎に包まれています。しかし、将軍家の養女が婚礼の際に持参したという事実から、この剣が単なる武具ではなく、両家の絆を象徴する特別な品であったことがうかがえます。
「剣 銘 吉光」が放つ清冽な気品は、徳川家と前田家の間に存在した緊張感を和らげ、両家の関係を円滑にする役割を果たしたのかもしれません。この剣は、単なる美術品としてだけでなく、歴史の舞台裏で重要な役割を果たした証人でもあるのです。
2. 刀剣鑑定の至宝:重要美術品「刀絵図」の全貌
今回の展示では、国宝「剣 銘 吉光」と共に、重要美術品「刀絵図」の全体像が公開されます。刀絵図とは、刀剣の鑑定に必要な情報を簡潔に示した図録であり、刀剣愛好家にとっては垂涎の的です。
この刀絵図は、本阿弥宗家の九代・本阿弥光徳が1595年に制作したもので、豊臣秀吉の愛刀を中心に40口が収録されています。特に、「太閤御物」として名高い刀剣が、大坂の陣や明暦の大火で失われる以前の姿で描かれている点は、歴史的資料としても非常に価値が高いと言えるでしょう。
また、刀絵図の冒頭には、粟田口吉光の刀が12口も収録されており、当時の刀剣界における吉光の評価の高さがうかがえます。この刀絵図は、刀剣の歴史を語る上で欠かすことのできない、まさに至宝と言えるでしょう。
3. 時を超えて輝く二つの名品:歴史ロマンへの誘い
今回の展示では、国宝「剣 銘 吉光」と重要美術品「刀絵図」という、二つの貴重な文化財を同時に鑑賞することができます。
徳川家と前田家の絆を象徴する名剣と、豊臣秀吉の愛刀を今に伝える刀絵図。これらの名品は、いずれも歴史の荒波を乗り越え、現代にまで受け継がれてきた奇跡の証です。
展示室に足を踏み入れれば、あなたはまるでタイムスリップしたかのような感覚に包まれるでしょう。刀剣が持つ独特の美しさと、そこに込められた歴史の物語に、きっと心を奪われるはずです。
ぜひ、この機会に展示会場へ足を運び、時を超えて輝く二つの名品を間近でご堪能ください。
展示される刀剣一覧
※このサイトの趣旨により、ここでは刀剣のみ掲載です。展覧会では他ジャンルの展示品もあります。ぜひ公式HP等をチェックください
国宝 剣 銘 吉光 所蔵白山比咩神社