刀剣が辿った数奇な運命――。 岡山県瀬戸内市の備前長船刀剣博物館にて、テーマ展「つながる―赤羽刀にみる刀剣の軌跡―」が開催中です(2025年4月26日(土)より開催)。
本展では、戦後のGHQによる刀剣接収(刀狩り)とその後の文化財としての保存・登録という歴史を持つ「赤羽刀(あかばねとう)」に焦点を当て、数々の苦難を乗り越えて今日まで「つながった」刀剣たちの軌跡を辿ります。
目次
「赤羽刀」とは?
「赤羽刀」とは、第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が日本の武装解除を目的に接収した刀剣類のうち、美術的価値が認められて廃棄を免れ、保存された約5千振(4,576口)の刀剣のことを指します。 一時保管されていた場所(東京都北区赤羽)にちなんで「赤羽刀」と呼ばれました。武器として没収されながらも、文化財として価値を認められ、その多くが登録審査制度によって再び所有者の元へ、あるいは博物館などへ還っていったという歴史を持ちます。
展示内容・みどころ
今回のテーマ展では、この「赤羽刀」の歴史を振り返るとともに、現在の登録審査制度によって現代に甦り、「つながった」刀剣たちが展示されます。
- 2階展示室(テーマ展示): 赤羽刀として数奇な運命を辿った刀剣を中心に展示。備前長船の刀工(祐包、祐永、祐定、清光、康光、秀景など)をはじめ、様々な時代・刀工の作品が含まれており、赤羽刀の多様性とその背景にある物語を感じることができます。
- 1階展示室(刀剣の見方): 刀剣鑑賞のポイントとなる「姿」「地鉄」「刃文」「刀装具」の4つの部門について、実物の刀剣(備前長船祐定、丹波守吉道、村正(伝)、手掻派(伝)、粟田口國安(伝)、吉房など)と共に分かりやすく解説されています。初心者の方にもおすすめです。
主な展示刀剣(一部)
展示される多数の刀剣の中から、一部をご紹介します。(※展示内容は変更される場合があります)
【2階展示室より】
- 刀 銘 備前長船住横山俊左衛門藤原祐包 天王原八幡宮於神前之作/慶応二年八月日 友成五十八代孫 (江戸末期)
- 脇指 銘 横山加賀介藤原朝臣祐永 天保十一年八月日/(菊紋)一備前長船住 (江戸末期)
- 刀 銘 備前国住長船清光作/永禄二年八月日 (室町末期)
- 太刀 銘 備州長船秀景/享徳二二年三月日 (室町初期)
- 脇指 銘 備州長船康光/応永十八年十月日 (室町初期)
- 太刀 銘 備前国長船(以下不明)/不動□□十年□(以下不明) (南北朝)
- 太刀 銘 吉房 (鎌倉中期)
【1階展示室より】
- 刀 銘 備前国長船祐定/永禄九年八月日 (室町末期)
- 刀 銘 丹波守吉道 (附)黒石目地塗鞘打刀拵 (江戸中期)
- 脇指 銘(葵紋)越前康継作之/以南蠻鐵 (江戸中期)
- 刀 無銘(伝 村正) (室町末期)
- 短刀 銘 上(伝 粟田口國安) (鎌倉初期)
- 小太刀 銘 吉房 (鎌倉中期)
開催概要
項目 | 詳細 |
---|---|
展覧会名 | テーマ展「つながる―赤羽刀にみる刀剣の軌跡―」 |
開催期間 | 2025年4月26日(土) ~ 7月13日(日) |
休館日 | 毎週月曜日(ただし5/5は開館)、祝日の翌日(4/30(水), 5/7(水)) |
開館時間 | 9:00~17:00 (最終入館 16:30) |
会場 | 備前長船刀剣博物館 2階展示室 (※1階でも関連展示あり) |
住所 | 岡山県瀬戸内市長船町長船966 |
入館料 | 一般 500円(400円)、高大生 300円(250円)、中学生以下 無料 ※()内は20名以上の団体料金 &※65歳以上 400円(要証明)、障がい者手帳提示者+付添1名 無料 |
主催 | 備前長船刀剣博物館 |
公式サイト | テーマ展「つながる―赤羽刀にみる刀剣の軌跡―」 |
【注意事項】
- 写真撮影は可能(フラッシュ・動画は禁止)。
- 館内飲食禁止(ペットボトルは鞄へ)。敷地内禁煙。
- ペット入場不可(補助犬除く)。
- 大型荷物は受付預かり。
まとめ
備前長船刀剣博物館で、戦後の刀剣受難の歴史を物語る「赤羽刀」に焦点を当てたテーマ展が開催中です。登録審査制度によって現代に甦り、「つながった」刀剣たちの軌跡を辿ることができます。 備前刀を中心に様々な時代の刀剣が展示されるほか、1階では刀剣鑑賞のポイントも学べます。この機会に、歴史を乗り越えてきた刀剣たちの声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。